出発して15分ぐらい、船の安定性が良くないのに気が付く。何だろうなと思っていたら、右のスポンソンの空気が抜けている。出発直前にチェックしたのになぁと、ぼやきつつ海上で空気注入。が、ぜんぜん膨らまない。もう、のれんに腕おし状態。吹き込むそばから抜けているようだ。よほどの大穴があいてしまったのだろう。
やや不安定とはいっても、荷物のおかげで安定しているので何とかなりそう。戻るのもいやなので、このまま進むことにする。
うねりがやや出てきた。
うねりが来て船が右に傾くと、スポンソンが無いためぜんぜん踏ん張ってくれない。スイープぎみに漕いで沈しないように踏ん張る。1時間半ほど右に傾きながら漕いだが、いやになってきたので、港に入って修理することにする。
漁港のスロープに上陸。荷物を全部出して、船を乾燥させるのに1.5時間。
船を分解、スポンソンの修理に1時間。スポンソンは接着剤で袋とじにしてある縁の一部分の接着剤が剥がれ、2cmほどの大口を開けている。どうやら、昨日炎天下にほったらかしているときに、中の空気が暑さで膨張して、圧力が上がり過ぎたのが原因のよう。水に浮いてる時(20℃ぐらい)で適度な張り具合だったのだから、そのまま日にさらされて60〜70℃ぐらいになったのではスポンソンもたまらなかったのだろう。
教訓!上陸したらスポンソンの空気を少し抜きましょう。常識だったのかな。f(^o^;
穴をふさいで、乾燥1時間。
船の組み立てと荷物の積込みで1時間。
以上全部炎天下の堤防上での作業。なにしろ暑い。頭がクラクラして作業中断、ジュースを買いに行くこと3回。熱射病になるかと思った。
やっとの思いで修理完了。再出発。
再出発したはいいが、30分ほどすると今度は尾てい骨のあたりが妙に痛い。もともと痛かったのだが、痛さの度合いが違う。
思い当たるふし有り。修理後の組み立てで、シートの吊り下げを忘れたのだ。シートをとおしてキールのフレームが尾てい骨に当たっているわけだ。
「ファルトは面倒臭ぇ!」と、怒ったってしょうがない。
上陸して直さなければならないのだが、港まで戻るのはいやだ。さりとて近くの海岸は上陸できる海岸ではない。でも我慢できる痛さではない・・・
結論。このまま海上で直す!
いくら荷物を積んで安定しているとはいっても、船に乗ったままシーソックスを外して、シートを吊り上げるなんて芸当はカサラノSの場合、困難の極みです。バランスを失って海にどぼんすることは明白。しかし・・・
実は、カサラノSの空荷の時の不安定さを心配してシーウィング(コックピットの両脇に固定できる細長い浮力体。アウトリガーの一種ですな)を買ってあったのでした。
せっかく買ったんだからと、使ってみたら、その安定感たるやたいしたもので、余裕で海上作業完了。
あんまり安定してるんで、狭くてムレムレのコックピットから足を外に投げ出して、寝転がり、タバコをぷかぷかしながらしばし漂流。こいつは手放せないなぁ。と、うねりに上下しながら思ったのでした。
さて、トラブル続きで、出発してもう9時間もたとうというのに20kmしか進んでいない。が、ここ日和佐港から先は、10km以上断崖が続き、上陸適地はありそうもない。あと2時間漕ぐよりビールが呑みたいので、本日はここまでとする。
港の中を偵察。地図にあるキャンプ場は影も形もない。どうやら山の上のようなので、港のすぐ外の無人海岸を本日の泊まり場とする。
カヤックで町に買いだし。冷たいビールと氷を積んで泊まり場に戻る。
本日は、冷たいビールを呑みながらトラブルの反省をするのであった。
しかし、この反省も虚しく、翌日またトラブルが・・・。そして、この旅の始まりにフィリピンで発生した台風も静かに迫ってきているのであった。
第3部おしまい。
|