<注釈>


※1 毛鉤釣り禁止問題
 トラウト・フォーラムが発足した当時は、全国のいたるところに「毛鉤釣り禁 止」「フライフィッシング禁止」といった規則が存在していた。代表的なものに 静岡県狩野川でのフライフィッシング禁止と群馬県、栃木県などでの毛鉤釣り禁 止問題があった。トラウト・フォーラム会員の活動により狩野川は支流のみ期限 付きで解禁、群馬県、栃木県の内水面漁業調整規則からは毛鉤禁止の項目は削除 された。


※2 キャッチ&リリースの予備調査
 東京都多摩川支流の養沢川毛鉤専用釣り場の協力を得て、トラウト・フォーラ ムが1990年から1991年にかけて実施した(調査の詳細は「フライの雑 誌」19号に掲載された「キャッチ&リリースの条件」を参照)。キャッチ&リ リースの効果と問題点を明らかにするための調査は、日本ではそれまで行われた ことがなかった。


※3 各地で目に見えて実現
 各地でのキャッチ・アンド・リリース区間設定の活動や、遊漁規則や調整規則 の改正、ゴミ問題への対策など、トラウト・フォーラム会員の地道な活動が次々 と具体的な成果となりつつある。


※4 寒河江川キャッチ・アンド・リリース区間
 1997年7月山形県西川町を流れる寒河江川本流に約8Kmのキャッチ・ア ンド・リリース区間が誕生した。現在は区間が延長になり約10Kmとなってい る。


※5 漁獲が魚に与えるダメージ
 欧米ではキャッチ・アンド・リリースによる魚の死亡率は、最もダメージの少 ないフライフィッシングの場合で一割以下と言われている。日本ではこの種のデ ータは存在していなかったが、昨年からある県の水産試験場が魚種別、大きさ別 に、キャッチ・アンド・リリース後の魚の生存率(フィッシング・モータリテ ィ)についての調査をはじめた。近いうちにデータが公表されると思われる。こ れまで日本のヤマメやイワナはキャッチ・アンド・リリースをしてもほとんど死 んでしまう、という意見もあったが、この論議に終止符が打たれる日も近い。


※6 トータルな釣り場プランニングが必要
 釣り場作りには、釣り人がどんな釣り場を望んでいるか、またその場所にはど んな性格の釣り場がふさわしいか、どんな釣り場なら実現可能かなど、地域特性 や釣り人の数、川や湖の形態などを考慮してのプランニングが欠かせない。例え ば、釣り人が多く自然産卵が望めないような釣り場なら、釣りをするための魚の 量を確保することが条件になり、釣られても魚が減らないルール作りや、成魚放 流の体制を整えることが必要になる。一方、自然産卵が望める釣り場では、産卵 期に親魚を残すことを前提に考えなくてはならない。また、保護すべき貴重な在 来種などは禁漁にして徹底的に監視することも必要だ。このようなプランニング は最低でも都道府県単位か、もしくはもっと広いエリアの単位で検討した方がよ り効果的だ。
 一例として、アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園では、禁漁期間、完 全禁漁、キャッチ・アンド・リリース、2〜5匹の尾数制限など、川の区間や魚 種ごとに、釣獲規則が細かく定められている。また、魚や環境にダメージを少な くするためにエリアごとに釣法も制限されている。これらのルールを記載した小 冊子は、公園の入口で釣り人へ無料配布されている。


※7 キャッチ・アンド・リリースは魚の再生産を促すひとつの有効な方法
 魚が再生産するための最低限の条件として、まず産卵期に産卵できる親魚が残 っていること、産卵できる場所があること、さらに生まれた稚魚が流されずに棲 息する場所があること、などがあげられる。キャッチ・アンド・リリースは禁漁 にしなくても<産卵できる親魚を残す>ことができ(欧米の事例では実証済み、 日本では検証中)、結果魚の再生産に寄与することになる。ある県の水産試験場 では産卵場所を人工的に作って効果をあげている。


※8 漁業権の中での漁場管理
 北海道や一部の例外を除き、日本の川や湖には第5種協同漁業権という権利が 設定されている。漁業権は各漁業協同組合に与えられる。漁業協同組合は漁業権 を有する代わりに、漁場を適正に管理しなければならない。漁協による「放流」 は、この漁場管理の一環の「増殖義務」に相当する。
 現行法上では、漁業協同組合員の行う「水生動植物の採捕」は、漁獲物を販売 するしないに関わらず「漁業」であると位置づけられている。漁業協同組合員が 行う「釣り」は、「漁業」ということになる。一方、一般の釣り人が行う「釣 り」は、「遊漁」であるとされる。一般の釣り人は漁業協同組合に「遊漁料」を 支払って釣りを承認してもらう立場になる。


※9 釣り人がプランを考えて提案し漁協や行政を説得する
 日本には釣り人のための釣り場管理機関がない。そのため、釣り人がよりよい 釣り場を求めようと思ったら、釣り場の管理者にもっとも近い漁協や行政にアイ デアを提案するしかない。しかし、現状制度の中での漁協は<漁業権の中で漁業 を営んでいる人>の集まりだし、行政はこの漁協を監督する立場にすぎないか ら、釣り人の提案がすんなり通ることは少ない。
 キャッチ・アンド・リリースや匹数制限の提案などは、自らの楽しみの幅を狭 めてでも魚のいる状況(釣りができる最低の状況)を作り出したい、という釣り 人の切なる願いである。この感覚を理解してもらうためには相当の努力が必要。


※10 1997年に実施したアンケート
 1997年にトラウト・フォーラムが会員を対象にキャッチ・アンド・リリー スについてのアンケートを実施した。総回答数は161通。結果はトラウト・フ ォーラム・ジャーナル(TFJ)13号(1998年1月30日発行)に掲載し た。釣り人がキャッチ・アンド・リリースを行う理由として、
●魚を残すため: 約55%
●魚を殺すのは忍びない:約29%
●魚が必要ない:約15%
●なんとな く:約1%
というデータが得られた。


※11 地元に大きな経済効果がもたらされた
 キャッチ・アンド・リリース区間を設定することで「いつも魚のいる川」とい う状況が生まれ、まだ現状では希少価値からくる話題性も手伝って多くの釣り人 が訪れるようになる。実際にこれまでキャッチ・アンド・リリース区間を設定し たところでは一様に釣り人が激増している。遊漁券の売上ばかりか、流域の宿泊 施設や食堂、商店などの売上も大きく向上している。最近では「町おこしにキャ ッチ・アンド・リリース区間を」という地域行政からの発言も珍しくなくなって きた。


※12 トラウト・フォーラム憲章
 『トラウト・フォーラムは、鱒釣りをスポーツとして行うものの集まりです。  わたしたちは、このスポーツからより大きな喜びを得るため、ヤマメやイワナ たちが棲む豊かな清流の復活と保存を願うものです。また、鱒釣りがスポーツと して社会に広く定着し、釣り人の声がより多く行政施策に反映されることを望む ものです。
 そのために、わたしたちは釣り人のネットワークを広げ、釣り場づくりに必要 な種々の科学的な調査を実施していきます。また、それらの実績をもとに河川漁 協や行政に対し、鱒釣りの新時代を築くための、積極的な提言を行っていきたい と考えます。
 わたしたちは、このスポーツが自然の再生産システムとよりよく調和し、子供 達の世代にも終わることなく、かけがえのない楽しみであり、活力の源泉であり 続けるよう願うものです。そのために活動するのが、トラウト・フォーラムで す。』
 この憲章は1992年3月に制定された。


※13 川の未来にどのような可能性が考えられるかを検証するビデオ
 これまでトラウト・フォーラムが制作したオリジナル・ビデオは、第一弾/ニ ジマスが再生産を繰り返している日本では貴重な河川を記録した「ニジマスたち のサンクチャリ」、第二弾/キャッチ・アンド・リリース区間設定が地元にもた らした経済効果や、設定以降で川がどのように変わったかなどを地元住民のイン タビューを交えて検証した「キャッチ&リリース2年目の寒河江川」の二本。こ れらのビデオは関係各方面に配布され、大きな反響を受けている。第三弾ビデオ では「魚が残れば川はこんな状況になる、このようにすれば再生産の可能性も高 くなる…」という内容を具体的な映像をもとに検証する予定。


※14 マス類を漁業権魚種にする漁協リスト
 トラウト・フォーラムが数年前から取り組んでいた「全国遊漁規則調査」のベ ースになる資料として、「マス類を漁業権魚種にする漁業協同組合名簿」を作成 した(会員へ配布済み)。このデータベースに、漁協ごとの河川名や解禁期間、 全長制限などを加えていけばさらに使いやすい資料になる。集まっているデータ を現在、地道に入力している。今年よりは来年、来年よりは再来年と完成度を高 めていく予定なので会員皆様のご協力を…。



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