COVER COLUMN 2

キャッチ&リリースの効果を疑問視する人が、まだまだたくさんいるという事実に驚く。

西山 徹(TF代表)


 11月、根津甚八さんたちとクリスマス島へ行ってきた。この島へ通うようにな って13年になるが、ラグーン内のYサイトを中心とするノーキルゾーンのボーン フィッシュ達は、何の変化もなかったように悠々とフィーディングしていた。そ して、私たちがキャストするフライに次々とアタックし、例のジェットランを繰 り返すのだった。

 前の週が24人、この週は何と40人。クリスマス島を訪れるFFマンはまだまだ増 える傾向にあり、新たなフィッシングロッジもオープンした。しかしながら、ノ ーキルゾーンを中心として、この島のボーンフィッシュたちは、まだまだグッド コンディションを保ち続けている。ガイドたちのほぼ全員が長いフォーセップを 持ち、飲み込まれたフライでも、それはそれは丁寧に外す。そして優しく穏やか に、ケアフルリリース。我々ゲストは、来る日も、来る日も、食う、寝る、ひた すら釣る。ただそれだけ…。

 帰国直後、シーズン最後の忠類川へ行ってきた。結果は、サオを出さずに敗 退。直前の大雨で雪が溶け、濁流の大増水。不運な人の気持ちが、いやっていう ほど良く分かった。その夜、忠類川のスタッフたちと3年目以降の意見交換をし た。私の提案は、当然ながら下流部のキャッチ&リリース区間設定。しかしなが ら、漁協の首脳部には真意がなかなか伝わらない。釣った魚は食うのが当たり前 であって、リリースするのは粗末に扱うようなニュアンスが強いというのであ る。

 さらなる知恵を絞るうちに、リリース派がようやくたどりついた提案とは、 "下流部全域をノーキルゾーンにして遡上のさらなる促進を図り、上流部への遡 上状態と、自然産卵の状態を調査してはどうか"というものであった。テーマは サケマス資源の有効利用調査なのだから、釣って食うばかりが有効利用ではない だろうと思うのだが、さて来年はどうなるのだろう。

 そして12月。7日の日曜日に、"道北にもサケの釣れる川を"という趣旨のイ ベントが旭川で開催された。フォーラムには道の水産部、道立孵化場、釣り団体 などが参加し、私をも含めて、400人もの人が会場を埋め尽くした。釣りの集ま りとしては、旭川始まって以来の盛り上がりだったそうである。

 その夜、熱心な釣りグループの集まりがあり、私には、ちょっと驚くような発 言が相次いだ。「キャッチ&リリースでは3分の2くらいの魚が死ぬそうですね …」「この5月、デシューツリバーに行ってみたら、ヒレの擦り切れたヨレヨレ のニジマスが澱みに群れていて、これが全然フライに反応しないんですよ。キャ ッチ&リリースで痛めつけられた魚なんですかねぇ…」などなど。

 前者は、そのような話を某大学の先生が語っていたというし、後者は、5月の ことだから、産卵を終えたばかりの休息中のニジマスを発見したのだろうと思 う。ともかくキャッチ&リリースで、本当に魚が生き延びることができるかどう か、というのが、旭川の周辺の主としてFFマンたちの間では、まだまだ疑問視さ れていたのである。

 正直言って、参りましたねぇ。外国での成功例は、あくまでも外国の話なので あって、我が国にはまだまだ信じられないという人が沢山いるのである。各地の 魚に関する研究機関や試験場の方々にお願いしたい。我が国のヤマメやイワナた ちで、一度データを取ってみませんか。同時に、トラウトフォーラムのメンバー にも、協力をお願いしたい。どこかでキッチリと、調査してみようではありませ んか。

トラウトフォーラムページへ戻る
ホームページへ戻るホームページへ戻る
株式会社アウトドア オンライン/webmaster@outdoor.co.jp

1995 OUTDOOR ONLINE CO., LTD