県・地元・漁協・釣り人・TFが参加

『桃源郷を求めて清流に集う』で語られたこと

<C&Rパネルディスカッションin 寒河江>


7月19日、スポーツフィッシング大会初日終了後、会場本部近くの大井沢小学校 体育館内で、「桃源郷を求めて清流に集う」というテーマでパネルディスカッシ ョンが開催されました。夕食後、昼間の疲れをものともせず、多くのアングラー が続々会場に集合。「リリカルアングラーズ」のメンバーはもちろん、県、漁 協、西川町、地元大井沢地区からそれぞれパネラーが出席し、理想的な形で実現 した「C&R区間」をそのまま浮き彫りにするようなするような真剣で、和気あ いあいとした集まりとなりました。

パネラー

里見栄正(TF前代表・ TF代表部会委員)
木住野勇(東京都在住・TF事務局長)
中沢 孝(東京都在住・TF顧問)
鈴木裕之(山形県農林水産部水産課)
高橋安則(最上第二漁協長)
渡辺悦夫(西川町商工観光課)
志田忠昭(大井沢地区在住・朝日山の家経営)
松田洋一(「リリカルアングラーズ」会長・TF会員)
司会:寒河江芳美
「リリカルアングラーズ」事務局長・TF会員)
        ー以上、敬称略ー




◇まず、里見、木住野、中沢のTF関係3氏により、釣りと釣り人を取り巻く現 状の問題点と寒河江川への期待、そしてバーブレスフックの効用やキャッチアン ドリリース(以下C&R)の生存率の高さなどのレクチャーがあり、その後、各 関係者に今回のスポーツフィッシング大会とC&R区間設置にかかわる経緯につ いて語っていただきました。
 ここでは、各パネラーの発言をダイジェストして掲載します。


鈴木裕之(山形県農林水産部水産課)

釣り人のあなたにもできることがあります。

(理想の釣り場づくりのために)釣り人のみなさん自身ができることは、たくさ んあります。今回の寒河江川の件でも明らかなように、個人が集まれば行政を動 かすことだってできるわけです。また、釣り人自身が漁協組合員になるという手 段もあります。これはそんなに難しいことじゃないんですよ。 現在、多くの漁 協では高齢化が進んでいますから、若い力はきっとどの漁協でも歓迎されるので はないでしょうか。それから、最低限のこととして、釣り場でのルールやマナー を守ってほしい。遊漁券を購入する、ゴミは持ち帰る……。


高橋安則(最上第二漁協長)

今後3年間の寒河江川を、あたたかく見守ってください。

 正直いって、最初に「リリカルアングラーズ」のメンバーからC&R区間設定 の話を聞いた時、私は「不可能に近いのでは」という感想を抱いていたのです。 しかし、これからの漁協運営を考えるとそうした試みが必要であることも、私自 身重々理解していました。さっそく、漁協内で討議にかけたところ正式承認を得 られ、また幸いに県の水産課や地元・大井沢地区の方々の協力とご理解のもと に、この7月から寒河江川のC&R区間が実現しました。ただし現在は「釣り人 へのお願い」という、ゆるやかなスタート。今後3年間の、いわば実験期間を経 て、C&R区間へのより深い理解が得られることを切に望みます。


渡辺悦夫(西川町商工観光課)

釣り人の交流拠点をめざしています。

 西川町としては、町の大動脈・寒河江川を見直さなければという発想でした。 春の山菜、夏は月山でスキーなど、わが町のベースはやはり自然です。もちろん 釣りもその中の重要なファクター。ところが地元では「地元の宿に泊まってくれ ない」「ゴミを捨てていく」など釣り人に対して決して良いイメージではありま せんでした。では、どうすれば釣りが町の経営に役立つか、と4〜5年前から釣 りの研究をして、「理想の管理釣り場」構想を考えていました。そんな時「リリ カルアングラーズ」のメンバーから提示されたC&R区間設定のお話は、私たち のプランと見事一致を見たわけです。将来的には釣り人の交流拠点となる寒河江 川にしていきたいですね。もちろん、昔のように魚がウヨウヨいて、目で確認で きる状態の川に、です。


志田忠昭(大井沢地区在住・朝日山の家経営)

あの豊かな寒河江川よ、再び!

 大井沢地区では、豪雪地帯ということもあり、つい最近までイワナは重要な食 糧源でした。昭和31年生まれの私の子ども時代にも、川にはたくさん魚がいまし た。イワナ釣りは子どもの遊びでもあり、尺以下の魚を釣る方が難しいくらい豊 かな川だったのです。ところが、年々釣り人が増え、魚が少なくなっていくのが わかりました。どうにか昔の川に戻したい……そんな時「リリカルアングラー ズ」のメンバーと出会ったのです。それまで毛針といえばテンカラだった私とは 違うフライの方々でしたが、すんなりその釣りのことを理解でき、彼らの活動に 協力することにしました。ルアー、餌釣り、テンカラ、フライ……どんな釣りで も、みんな同じだというのが私の意見です。


松田洋一(「リリカルアングラーズ」会長・TF会員)

私たちにとっても、地元にとっても、理想の川にしたい。

 「ここ10年くらいで目に見えて魚が減ってきている」と感じていた近隣の釣り 人が集まって、川を真剣に考えていこうと「リリカルアングラーズ」というクラ ブを結成しました。といっても、自分たちだけでは何もできません。漁協や地元 の方々と一緒に理想の川づくりをすることが、私たちの掲げた目標でした。そし て、私たちの考える「理想の川」は、同時に地元の人たちにとっても理想の川に もなるだろう……今回の寒河江川C&R区間もそうした信念のもとに進めてきた のです。


寒河江芳美 (「リリカルアングラーズ」事務局長・TF会員)

釣り人、漁協、地元がみんなハッピーになればいい。

 我々「リリカルアングラーズ」は、ただ単に「釣り人のわがまま」ではなく て、地元と漁協にメリットがある方策を探っていました。このような三位一体で 理想の釣り場づくりに取り組んでいくためには、まず地元のみなさんにメリット を十分納得してもらう必要があります。そこで、昨年、地元の方々へのデモンス トレーションとして、第1回「スポーツフィッシング大会」を開催。なんと160 名もの釣り人が集まりました。その想像を越える人数が大きなインパクトとな り、今回、第2回の開催、C&R区間設定につながったのです。ご協力いただい た多くの釣り人のみなさんに感謝します。


◆会場からは次のような意見が発せられました。

▽「釣り場への降り口がわかりやすいように表示看板を付けてほしい。そこに入 漁規則やC&Rの方法などが記されていればいいのでは」

▽「遊漁券をコンビニなどで販売できないか」

▽「13年前に比べずいぶん魚が減っている。禁漁地区を設けても良いのでは」


◆「土木工事との関わりは、どうなっているのか」という質問に関しては、西川 町役場の渡辺氏が「砂防ダムの魚道づくりや無意味な護岸の見直し、また今春か ら大井沢地区で砂利採取禁止」を現在の取り組みとして回答されました。

◆今回のパネルディカッションは河川に関係する様々な立場の方が一堂に会し、 より良い河川と人間との関係について討議した点で画期的なものでした。とはい え、試みは、まだ始まったばかり。理想的な出発をした寒河江川の3年後、10年 後へ向けて、トラウトフォーラムも積極的に関っていきます。
        (報告/編集局 大谷) トラウトフォーラムページへ戻る
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