特報

山形県寒河江川にキャッチアンドリリース区間が出現!



 数年前まで、いわば一部の釣り人の「夢」でしかなかったキャッチ&リリース 区間。ここに来て、その「夢」が次々と現実になっています。なかでも台風の目 となりそうなのが、山形県。
この7月1日より寒河江川の寒河江ダム上流約8キロ区間が釣法を問わないキャッチ &リリ−ス区間に設定されました。同県ではすでに遊佐町の月光川でキャッチ& リリ−ス区間が実施されており、8月には、朝日町にある東大鳥川でもキャッチ &リリ−スに向けたイベント「サンクチュアリ大鳥」が多くの関係者の協力のも とに開催されています。
以下、寒河江川のキャッチ&リリ−ス区間設定について 現地からの報告を混じえてお届けします。

 発端は、山形県在住のTF会員・松田洋一、寒河江芳美両氏からの、山形県西川 町の寒河江川でキャッチ&リリ−ス(以下C&R)区間設定に向けて動きはじめた という電話でした。 
 以来、彼らと綿密に連絡を取り合い、また現地にも何度となく足を運んで、 C&R区間実現までの経緯に関わってきたトラウトフォ−ラム事務局長・木住野勇 氏。首都圏の一釣り人でもある氏の視点で、今回のC&R区間設定のいきさつと 意義について、話してもらいました。

        


 …まず、今回のC&R区間設定のいきさつと中身について説明してください。

  期日は今年7月1日より、区間は寒河江ダム上二つ掛橋から上流根子橋までの 約8kmで、マス類に限ってのC&Rオンリーです。餌釣り、ルアー、毛鉤など、 釣法の制限はありません。
 このC&R区間設定に対しては、昨年より地元山形県の釣り人のグループ(リリ カルアングラーズ会員52名)、最上川第二漁業協同組合、地元西川町、大井沢 地区住人、山形県水産課などが協力し合うという理想的な形で準備が進んでいま した。
 C&Rは当面遊漁規則には盛り込まず、「釣り人に協力をお願いする」という 形ですが、今後3年計画で管理体制、地元の受け入れ体制、釣り人の要望などを 整理して最終的には遊漁規則に盛り込んだ完全な形を目指します。
 寒河江川を管轄する最上川第二漁協では、C&R区間設定に先駆けて現状の遊 漁券不携帯者が多いという問題を改善するため、地元大井沢地区の組合員約60 名を監視員に任命し遊漁券不携帯者の一掃をはかる計画で活動を始めました。ま た、C&R区間設定を踏まえて周年禁漁区間(再生産のための種沢)を設定し、 魚を持ち帰りたい釣り人のために寒河江ダム下の本道寺地区に管理釣り場(1.5 km区間)もオープンしました。
 また、地元の民宿組合などの「釣った魚を持ち帰れないと釣り人(宿泊客)が 来ないのではないか」という不安があったため、7月19日・20日の両日、完 全C&Rによる釣り大会「月山スポーツフィッシング大会」を開催しました。釣 った魚を持ち帰れないにも関わらず約200名の参加があり、地元の人達にC& Rを理解してもらう良い機会になりました。

     …こんなにスムーズな形でC&R区間設定が進められたことに対してうれしさ とともに、驚きも感じるのですが。その成功の要因は?

 寒河江川C&Rは様々な問題を抱えながらも、1年という超スピードで実現し ました。それには釣り人グループの努力もさることながら、県や町や漁協がお互 いに協力するという体制ができたからだと思います。漁協や県は釣り人のため内 水面漁業の発展のため、町は活性化と住民のためというそれぞれの立場での理念 に基づいた決断と行動が、寒河江川を変えようとしています。
 実際様々な立場の人が、釣り人の激増と魚の激減に対しての危機感は持ってい ても、それを具体的な行動に起こすことはなかなかできません。しかし、誰かが 勇気と熱意を持って行動すれば寒河江川のような理想郷が誕生するという良いお 手本になりました。
 C&R区間が実現したことで、これからの寒河江川は、釣り人にとっては魚の 姿がいつも見える川であり、町や地元にとっては宿泊客・飲食客などによる利益 や観光の活性化が計れる川になり、漁協や県にとっては今後の内水面漁業への明 るい展望が開ける・・・。寒河江川を取り巻く人達にとって、より良い状況が生 まれることでしょう。

 …C&Rは釣人はもちろん、漁協や地元住民にもメリットをもたらすというこ とですね。

   現在日本の内水面漁業は高齢化、資金難などにより行き詰まりの様相を示して いるところも少なくありません。釣り人の要求を満たすために放流した魚をあっ という間に釣りきられてしまったのでは、増え続ける釣り人の要求に応えること は労力的にも資金的にもますます不可能になってくるでしょう。  釣り人が増えてもそこそこ魚の見える川、再生産のできる川にするためには、 従来の放流量で魚を残すことがのできるシステムの検討、導入が一日も早く行わ れることが必要です。C&Rが絶対ではないかもしれませんが、現時点では最も 実現可能な道なのではないでしょうか。

付記
寒河江川C&R実行委員会では、より良い釣り場づくりのため、釣り人にアンケ −トをお願いしています。専用の用紙とポストは区間下流域、川沿いにある「朝 日山の家」に用意されています。釣行の際はぜひご協力をお願い致します。「釣 りに夢中で出し忘れた!」そんな方はTF事務局に郵送されても結構です。

群馬県の渡良瀬川(桐生地区)、熊本県の川辺川上流下梶原川でも、TF会員ら の働きかけによりキャッチ&リリ−ス区間が実現する見込みとなっています。T Fでは寒河江川に引き続き、各地のこうした活動をバックアップしていきます。
       
(まとめ/編集局 大谷)


TFミーティング&親睦会 in寒河江

 さる7月20日(日)、スポーツフィッシング大会2日間終了後、大会会場近く のセミナーハウスで東北地区初のTFミーティング&親睦会が開かれました。
 里見前代表のあいさつの後、TF事務局・木住野勇氏と山形県農林水産課の鈴木 裕之氏の寒河江川に対する思いが語られた前半のミーティング。鈴木氏には、参 加者からの質問にも誠実に答えていただきました。
 後半は、一喜一憂のお楽しみ抽選会と、手に汗握る白熱のオークションで盛り 上がった親睦会……。釣り人垂涎の豪華商品が勢ぞろいしたオークションでは、 トローリングロッドと海外ブランドの渓流用フライロッドの抱き合わせ(?)と いう「珍品」が、会場をひときわ賑わせてくれました。
 東北地区の会員と首都圏から大挙参加した会員が、アットホームな雰囲気の中 でコミュニケーションを深められた今回のミーティング&親睦会。参加者には、 また一つ忘れられない「夏の日の思い出」ができたことと思います。

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