INTERVIEW
TF事務局訪問 “7年目のトラウト・フォーラム”
TF事務局 木住野 勇氏に聞く
トラウト・フォーラムがスタートしたのが90年6月。今年で7年目になりま
す。会員も毎年増え続け、現在では約800人を数えるようになりました。会員数
の増加、各プロジェクトの活動の活発化等に伴って増え続ける事務作業をこな
し、円滑に運営していくために、今年の2月から木住野勇さんに専任として事務
局の運営をお願いしています。行事等の告知、会員間の連絡の迅速化など、事務
局設置によるメリットははかりしれません。
しかしその一方で、様々な意見が寄せられる事務局という立場にあるからこそ
見えてくること、外からはなかなかわかりにくい問題が生じてもいるようなので
す。
--まず、事務局のお仕事について教えていただけますか。
木住野 中心になるのは、会員の名簿管理、経理、プロジェクト通信やTFJなど
の郵便物の発送作業、関係各所への連絡業務といった仕事です。しかし予想外に
大変なのは、問い合わせなどへの対応です。これには結構神経を使いますから。
--具体的には、どういったことでしょうか。
木住野 「トラウト・フォーラム」という組織の虚像、会員からの過度の期待の
ようなものが一人歩きしているのではと思えることがあるんです。「困ったとき
はトラウト・フォーラムに言えばなんとかなるんじゃないか」といった幻想のよ
うなものというんでしょうか。「……してほしい」といった類いの投書や問い合
わせなんかがかなり多いんです。これは会員、非会員を問わずです。時間の許す
限り手紙を書いたりして対応するようにしていますが、とても追いつかないとい
うのが現状です。
誤解ということでいえば、トラウト・フォーラムのことを自然保護の団体だと
か、フライフィッシャーの団体だと思っている人もいるようです。環境保全にし
てもフライフィッシングにしても、鱒釣りを考えるうえではどちらも視野にいれ
なければいけないことですが、決してイコールにはならない。このあたりのニュ
アンスは実際むつかしいんですね。
800人もの会員からなる組織というといかにも立派に聞こえますが、現実には
トラウト・フォーラムは、まだまだこれから。いまはまだその基盤をなんとか築
こうとしている段階だと思うんです。すべてに応えられるほどの力はないし、そ
れにそもそも、組織としてなにかをしてくれる団体ではないんですね。トラウ
ト・フォーラムは、そこに所属するわけではなく、参加して何かをしようと思っ
ている人たちをつなぐ「ネットワーク」なんですから。
--自発的に活動しようとする釣り人自身がつくりあげる「ネットワーク」であ
る、ということですね。
木住野 トラウト・フォーラムは、「鱒釣り人たち」が「日本の鱒と鱒釣りにつ
いて考える”ネットワーク”」である。つまり、鱒釣りを阻害する様々な問題に
対して自ら考え行動し、そうした個々の活動を互いに補助しあうネットワークが
トラウトフォーラムなんです。一人の鱒釣り人が自分自身の力でできることこそ
が、トラウト・フォーラムの活動の原点です。
代表にせよ代表部会員にせよ、もちろんわたしだって、一介の釣り人にすぎま
せんよ。「日本の鱒釣り」のことを考えてたら、気が付いたらこうなっちゃって
た(笑)、っていうのが本当のところじゃないですか。たまたま、こういう関わ
り方をしている、あるいはせざるをえなくなっちゃった(笑)。「すこしでもい
い鱒釣りがしたい」という思いは、会員みな同じ。スタートは同じなんですか
ら、あとは会員それぞれがどういった一歩を踏み出すかですね。
--「なにか始めたいけど、どうしていいか分からない」といった会員からの葉書
をよく目にします。なにかアドバイスをお願いできますか。
木住野 会員になったんだからなにか「活動」をしなくてはと、気負う必要なん
てないんです。まずは自分なりに問題意識を持つこと、これが大事なことだと思
います。「活動」というと、行政への働きかけといった目立つ活動が思い浮かぶ
でしょうけれども、個人レベルでできることだってたくさんあるんです。
例えば、ある釣り場にゴミが多かったとする。まず個人レベルでどうしようか
と考える。そして自分だけは絶対に棄てないようにするとか、可能な限り拾って
みようとか、せめて釣り糸だけは拾ってみようとか、まずは自分でできることか
ら始めてみる。それでもどうしようもないときはトラウト・フォーラムというネ
ットワークを使って大勢でゴミ拾いをやったり、ゴミの元を断つ方法を考えれば
いい。
また、キャッチ&リリースにしても、バーブレスフックを使用したらこんな効
果があったとか、ルアーではシングルフック、バーブレスでも案外バラシは少な
かったとか、こんな方法で魚に鉤を飲まれないようにしているとか、それこそテ
ーマは無数にあると思うんです。そして、そういった建設的な情報を交換する場
が「トラウト・フォーラムというネットワーク」なんです。
一方で、こうした身近なところから始める活動とは反対に、大きな問題に対し
ては800人というメンバーのメリットを最大限に活用すれば、組織全体としてバ
ックアップすることも可能になるでしょう。
--今後は、どういった方向に進めばいいとお考えですか。
木住野 トラウト・フォーラムもこの6年間、いろいろな活動を通じてある程度
のノウハウは蓄積できていますし、優秀なブレーンだっていますから、質問や疑
問にもかなりの部分でお答えできるようになりました。将来的にはもっともっと
さまざまなテーマに対して、トラウト・フォーラム独自のノウハウや知識を提供
できるようになればいいですね。
今は、そういった経験と知識を少しずつ蓄積しているところです。釣獲調査も
貴重なデータベースのひとつですし、3年前からの計画「全国遊漁規則調査」も
いよいよスタートすることになりました。それらすべてが会員の地道な活動に支
えられていることは言うまでもありません。
「事務局は忙しいから……」などと思わないで、建設的な意見は大歓迎ですか
ら、どんどんお寄せください。お待ちしています。
※事務局が忙しいのは、TFの活動が活発な証拠……とはいうものの、お話をお聞
きしているうちに、仕事があまりに多すぎるのではという印象を受けました。近
くにお住まいで、郵便物の発送など作業を手伝っていただけるという方、いらっ
しゃいましたらぜひ事務局までご一報ください。木住野さんのやさしい笑顔が、
あなたを迎えてくれるはずです。(まとめ・末永大也)
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