第3回 サバイバル道具「ナタ」

パート1、2でナイフの作りや、使い道の違いが少し分かるようになったと思う。 実用性だけではなく、確かに刃物には不思議な魅力がある。しかし、ただ高価な刃物がいいわけではない。もったいなくて使えない物は刃物としての価値がない。

もし未開の地に冒険に行くのならどんな刃物がいいか選べと言われたら、迷わずナタを選ぶ。日本のナタは猟師やきこり達が山での仕事を通じて使いやすいように、長い年月をかけて鍛冶屋と一体になって作り上げてきた、プロの刃物だ。山の中での枝打ちや小屋掛け、獲物の解体やイワナをさばいたりと道具として、破壊力と繊細な切れ味を求めた刃物だ。戦場で人殺しの道具として鍛え上げられていた刀は、江戸時代に入ると、武士のコレクションとして殺傷力から、美術品としての美しさを求めた物になってしまった。だがナタは違う。あくまでも実践の中で鍛え上げられている。
新潟、与板町の古見氏が打つ両刃ナタ、氏は今度、鍛冶屋として伝統工芸師なる。


 今日でも、ナタを打ち鍛える鍛冶屋はいるが、地方によってナタにも違いがある。猟師の持つもので、代表的なものに、秋田県の阿仁マタギが古来使ったといわれる、フクロナガサがある。このナタは厚いハガネの上に鉄を重ね、片刃のナタとして鍛え上げた物だ。柄の部分を筒状にして、鉄砲が使えないとっさの時や鉄砲が壊れた時には、筒状の部分に真っすぐな枝を差し込み、ヤリとしてクマと戦えるように猟師が考え出した、究極のナタである。片刃のナタはキコリが小枝落としとして使う事が多いが、阿仁マタギのフクロナガサは剣先から刃元まで鋭く研ぎ上げた鋭利なもので、キコリのナタは剣先がない変わりに、枝を落としやすいように長さがあるものが多い。フクロナガサは獲物の解体や毛皮を剥ぐ道具として工夫されてきた事がよくわかる。




フクロナガサはマタギが作りだした。戦闘的なナタだ。片刃だが刃身の内側のハガネを削ぎ。みために比べ、軽く扱いやすい。切れ味も両刃に迫る。フクロナガサを打つ、鍛冶屋は阿仁町の西根氏、ナガサ鍛冶、三代目だ。
フクロナガサのデザインはヤリ先そのものだ。


また、越後地方から西の方にかけて、両刃のナタをよく見かける。両刃のナタも猟師や山仕事の者が使っていたナタだが、阿仁マタギのようにクマと格闘した大型のクマの多い土地と違い、クマも少ない上にクマの個体も小さい地域のせいか、武器としてナタが槍の替りになる必要がなかった。代わりに山中で色々な加工道具として、両刃ナタの方が使いやすかったようだ。両刃のナタの作りは日本刀と同じ刃付け法の蛤刃作りである点を考えると、刀鍛冶がアルバイトとしてナタを作り、切れ味のよさから山木地師達や小型の獲物を獲る猟師が、刀鍛冶や野鍛冶に注文をつけて独特の両刃のナタが出来上がった。両刃ナタの特徴は刃身は直線で薄く軽く作られており、刀のように反っていないので研ぎやすい。さらに、両刃ナタの切れ味はゆれるササを撫でるだけで切り倒してしまうほど、切れ味を求めた刃物だ。

ナタの文化は鍛冶屋の歴史だ。ナタには特殊な作業用に作られたものが多い。実践で鍛え上げられたナタは日本が誇れる伝統的な刃物の一つである。

竹を扱う職人専門の竹割りナタ、竹が左右に割れやすいように両刃ナタだが片側の刃の角度が少し違う。昔は日本刀の折れた物を使用していたが、反りのない刃の方が無論使いやすいので、専用のナタが出来上がった。 枝打ち用としてキコリが愛用する。片刃ナタは刃身を厚くして切断力を高めている。切っ先を必要としていないので直角になっている。また刃研ぎを鈍角にして刃こぼれを防いでいるので切れ味は両刃に比べ落ちる。


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